求人応募が増えるオフィス内装とは?4業種の施工事例から学ぶ採用力アップの空間づくり

施工前の課題

  • 介護業界特有の「堅い・地味」な印象が強く、採用面で訴求できる理想のオフィスがなかった
  • 撤去できない大型排水設備に加え、窓がなく自然光が入らない地下物件特有の閉塞感があった
  • 人の出入りが多い環境に加え、造作工事を多く含む施工内容に対して工期は「わずか3週間」と限られていた
  • 既存ビルの低い天井とジプトーン仕上げによる圧迫感に加え、日中の音出し工事が不可という制限があった

実施した取り組みと効果

  • 「造作家具」を軸に、木目や間接照明と組み合わせることで、カフェのような親しみやすさと洗練された空間を実現した
  • 既存設備を「隠蔽設計」で巧みに活かし、照明と木目の調和によって地下空間をカフェのような開放感へ転換させた
  • 床の段差や壁の開口による「見守れるエリア設計」でプライバシーと開放感を両立させつつ、即断即決と「緻密な工程管理」によって高品質な施工を完遂した
  • 「折り上げ天井」と照明の使い分けにより、コストを抑えながら開放感の創出とエリアごとのゾーニングを両立させた

エムトラスト代表
高橋

16歳で大工の道へ入り、建築・内装業界に従事して20年以上のキャリアを持つ。「母に家をプレゼントしたい」という想いから起業し、現在は年間500件以上の店舗・オフィス施工を手掛ける。
店舗・オフィス開業に役立つノウハウを包み隠さず発信するYouTube「内装工事ちゃんねる」を開設。専門用語を使わない施主目線の解説が、多くの経営者から支持されている。「どうすれば実現できるか」を常に問い続けるのが信条。

最近、YouTube経由でオフィス内装のご相談をいただくことが激増しています。特に共通しているのは、経営者様が「従業員のために働きやすい環境を作りたい」「採用を強化したい」という強い想いを持っていることです。

オフィスにお金をかけることは単なる浪費ではなく、優秀な人材を獲得し、スタッフのモチベーションを上げるための「投資」です。今回は、限られた予算の中でいかにインパクトのある空間を作るか、4つの事例から紐解いていきます。

「自社に合ったデザインの正解が分からない」「限られた予算でどこまでできるか知りたい」という経営者様に向けて、コンプリート版カタログをご用意しました。公式LINEから無料でダウンロードできるので、まずは手元でじっくりとご覧ください。

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ー1つ目の事例について教えてください。

千葉県鎌ケ谷市の介護企業の事例です。社長とはお互いの会社を作った年も近く、同年代の経営者として切磋琢磨しながらプロジェクトを進めました。

【店舗情報】
業態:介護(本社オフィス)
物件状態:新築スケルトン
坪単価:約50万円(造作家具込み)
工期:約40日

課題.介護業界に対する固定観念が、採用活動のボトルネックに

ーこちらの企業様はどんな会社だったんですか?

出会った当時は20~30名ほどだった社員数が、今や300名を超えるまでに急成長した非常に勢いのある会社です。

ー介護業界で社員が300名超えはすごいですね。

そうなんです。介護業界全体として採用が大きな課題となっている中で、こちらの企業様は本当に採用に力を入れ、しっかりと成果を出されています。

ーなぜうまくいってるんでしょうか?

一番大きいのは、社長が「スタッフが働きやすい環境を作ること」を最優先に掲げていたことだと思います。介護業界では「本社に費用をかけない」という企業が多いのですが、この社長は違いました。

ー具体的にどんな課題があったんですか?

課題は、介護業界特有の堅いイメージをどう打破するかでした。そこで私たちは、面接に来た人が「あれ、介護の会社だよね?テナントを間違えたかな?」と良い意味で戸惑うほどのインパクトを与える、IT企業のような洗練された空間づくりを目指しました

解決.自社造作による空間設計で、他社を圧倒する採用競争力を創出

ー具体的にどんな空間を作ったんですか?

まず、同業者が「ベンチマーク(目標)」として憧れるような世界観を作るため、エントランスには「W」の文字が光るスタイリッシュな受付を設置しました。

ー内部はどんな設計にしたんですか?

内部の設計では、スタッフ同士のコミュニケーションを活性化させるため、動線を意識して次の3エリアに明確に分けています。

1.会議エリア:集中して議論を行う場所
2.フリースペース:カフェのような雰囲気で、ブレストや軽い会話を楽しむ場所
3.執務室:実務に集中する場所

また、既製品のオフィス家具では出せない温かみと質感を出すため、デスクやテーブルはすべて弊社で「造作」しました。中央のビッグテーブルには、弊社のガーデニング事業部と連携し、造花ではなく本物の植栽を大胆に配置しています。

ー緑もあっておしゃれですね。

こうした「緑のあるクリエイティブな空間」が、スタッフのモチベーション向上だけでなく、他社にはない圧倒的な採用競争力へと繋がっています。

ー2つ目の事例を教えてください。

2つ目は、東京都北区のクリニックのオフィスです。商業施設の地下という特殊な条件下での工事でした。

ーどんな物件だったんですか?

居抜きで、元々飲食店が入っていた地下の場所でした。

【店舗情報】
業態:クリニック(事務・研修用オフィス)
物件状態:居抜き(元飲食店・商業施設の地下テナント)
坪単価:30〜40万円
工期:約1ヵ月半(2024年施工)

課題.過剰な厨房設備と地下特有の暗さ

ー課題だった点を教えてください。

もともと飲食店が並んでいた地下の区画だったため、設備がかなり過剰な状態でした。

ー設備があるのは良いことのようにも思いますが。

不要な設備であっても撤去できず、「建物の資産なので撤去しないでほしい」と言われるケースがありました。ただ、オフィス用途では本来不要な設備なんですよね。
例えばグリーストラップについても、臭いを抑える工夫や、目立たないように床で隠すなどの対応が必要で、検討すべき点が多くありました。

【用語解説】
グリーストラップ:厨房の排水に含まれる油やゴミを、下水道に流さないように一時的に受け止める装置のこと

ー撤去できないから、あるものを隠すとかそれに対処する必要があったんですね。

そうなんです。オフィスなのにガスメーターがあったりとか、ほぼいらないじゃないですか。なのでそういうガスメーターを隠す作業があったり、分電盤も動力盤という大きい電力のブレーカーが過剰にあったり、オフィスではいらないようなものが多く存在していたんです。

ーあと地下特有の暗さも懸念点だったんですか?

はい。地下ゆえに入ってきた時ちょっと暗い雰囲気になりがちなので、明るさと清潔感があるイメージをちゃんと保つのが大事でした。

解決.壊せない設備を機能的に隠す技術と、地下を感じさせない開放感

ーこの案件で工夫した点を教えてください。

今回の物件で最大の障壁となったのは、ビルオーナー側の資産である飲食店特有の大型排水設備やガスメーターなどのインフラ設備を「一切壊してはいけない」という厳しい制約でした。
本来、オフィス移転においてこれらはデッドスペースや悪臭の原因となる厄介な存在なんです。しかし、エムトラストではこれらをあえて残したまま、徹底した防臭処置を施したうえで、造作壁や床上げのレイアウトを巧みに組み合わせて「視界から完全に消す」手法を採用しました。

ー制約を逆手に取ったんですね。

そうです。解体費用をかけずにオフィスとしての有効面積を最大化させた、プロならではの解決策です。

ーデザイン面ではどんな工夫をしたんですか?

ここはクリニックのフロアを通って奥に行くとオフィスがあるんですけども、皆さんが外に出てお仕事されて戻ってきた時に、カフェに帰ってきたような温かい空間作りをして欲しいというオファーがあったんです。
地下なので自然光はないのですが、ちゃんと明るさを担保して、落ち着くような空間。木目と清潔感をテーマに作らせてもらいました。窓がないという閉塞感を一切感じさせない、明るく開放的なワークスペースへと生まれ変わらせました。

ー3つ目の事例を教えてください。

3つ目は、千葉県船橋市の運送会社様です。1階が倉庫、2階がオフィスという物件でした。

ーどんなお引き合いだったんですか?

仲良くしている社長からの依頼です。僕たちの内装の資材の運送関係も一緒にやってもらっている会社さんなんです。

ーそういう身近な方からお引き合いがあるってうれしいですよね。

そうですね。信頼されているということになると思うので、うれしかったです。

【店舗情報】
業態:運送会社(本社オフィス・ラウンジ)
物件状態:居抜き(1階倉庫・2階事務所)
坪単価:30〜40万円(※2018〜2019年施工当時)
工期:約3週間

課題1.造作工事を多く含む施工内容に対して工期はたった3週間しかない

ーオーナー様はどんな想いを持っていたんですか?

「自慢できる会社にするためにはオフィスを持たなければならない」という社長の想いから、どうせオフィスを作るんだったらしっかり費用をかけてやっていきましょうと、コンセプト設計からさせてもらいました。

ー「運送会社の事務所=プレハブ小屋」みたいなイメージがありますよね。

そうなんです。そのイメージを覆したかった。社員の皆さんが家族や知人に「自分の会社はこんなにかっこいいんだ」と自慢できる空間にしたかったんです。

ースケジュール的にはどうだったんですか?

これが一番大変でした。ご依頼をいただいたのが年末という繁忙期で、残された工期はわずか「3週間」だったんです。
居抜きでしたが、使えるものは天井と空調くらいで、あるものをほとんど使ってないんです。通常ではあり得ないタイトな工期の中で、いかにクオリティを妥協せずに理想の空間を作り上げるかが最大の難題でした。

課題2.不特定多数が出入りする倉庫併設オフィスで、セキュリティと開放感をどう両立するか

ー他に課題はありましたか?

1階に倉庫、2階に事務所を構えるという物件の構造上、人の出入りが活発であることが大きな特徴でした。協力会社や配送業者など、社員じゃない人たちも頻繁に行き交う環境だったんです。

ーセキュリティ的に心配ですね。

そうですね。「誰でも自由に入れるエリア」と「社員だけが集中して働くエリア」が混在しており、セキュリティやプライバシーの確保が不十分でした。ただ仕切るだけでなく、来客が驚くような「おもてなしの空間」と、社員が安心して過ごせる空間をどう両立させるかが問われました。

解決1.現場の高い調整力と信頼関係が生んだ「即断即決」のスピード完遂

ー3週間という短工期を乗り切れたのはなぜですか?

工事のスケジュールとかもうまく調整してくれたので、作業が途切れることなく常に誰かが現場に入って施工を進められる状態でした。もともとの関係性がある中で、相互理解があるからこそ円滑に進められた部分も大きかったです。

ー信頼関係があったからこそ、ということですね

そうです。これほど複雑な造作(床上げや壁の加工)をともなう工事を、年末のわずか3週間という極限のスケジュールで完遂できたのは、現場を知り尽くした私たちの強みが活きた結果です。
また、古くからの友人でもあるオーナー様との強い信頼関係があったからこそ、現場での「即断・即決」の連携が取れ、通常ではあり得ないスピードで理想的なオフィスを引き渡すことができました。

解決2.床の段差と壁の開口を活かし、プライバシーを守りつつ家族も温かく迎えるエリア設計

ーどんな工夫をしたんですか?

誰でも入れるところは1階と2階のギャップを作りたくて、上がった時に「え、全然違う」のような感想を持ってもらいたかったので、2階にはカフェラウンジみたいなスペースを作りました。
最大の特徴は、あえて床の一部を上げ下げして段差を設けたデザインです。

ー床の段差には、どのような意図があるのでしょうか?

依頼主様から「スタッフが子どもを連れて出勤することも多い」と伺っておりましたので、お子さんが座って見られるように、あえて段差で床を下げました。
ラウンジ全体は床を上げてカフェのような雰囲気にしていますが、モニターの前だけはあえて一段下げています。こうすることで、子どもたちが段差にちょこんと腰をかけて、リラックスしてテレビや映像を楽しめるような、専用のスペースになるんです。

そのための、段差と大きなモニターなんですね。

そうです。ラウンジ部分はあえて床を上げてカフェラウンジを作りました。モニターがあるところはあえて段差で床を下げて、子どもたちがこう座って見れるような場所にしました

ーランチミーティングとかもすごくいいですね。

はい。このラウンジエリアには受付エントランスも隣接しており、来客対応や電話応対をスムーズに行いながら、そのまま執務室へとアクセスできる効率的な動線を確保しています。

ーファサードもおしゃれですね。真ん中がくり抜いてあって奥が見えるみたいな。

空間にしっかりと抜け感をつくりたいという意図がありました。ラウンジでお子様が走り回るようなシーンでも、中から様子を見守れるようにしたいと考えたんです。そのため、エントランスから上がってきた際に、ラウンジとエントランスが一体的に見渡せるようなイメージで開口を設けました。
社員のプライバシーを守りながらも、お子様の様子を見守れる、閉塞感のないエリア分けを実現しています。

【用語解説】
ファサード:建物の「正面」や「入口の顔」のこと。ここでは、入口の壁のデザインを指す

ー最後の事例を教えてください。

最後は港区のオフィスビルです。元々は、どこにでもあるような「標準的なオフィス仕様」の空間を、いかにして「社員が気持ちよく働けるクリエイティブな空間」へと再生させるかが、今回の大きなテーマでした。

【店舗情報】
物件状態:居抜き(既存オフィスのリニューアル)
工期:約30日
広さ:約60坪

課題.低い天井とジプトーンがもたらす圧迫感

ーこの物件で工夫された点や、課題はありましたか?

こちらは既存のオフィスビルで、天井にはジプトーン、床にはタイルカーペットが用いられた、いわゆる一般的なオフィス仕様の空間でした。

【用語解説】
ジプトーン:オフィスの天井によく使われている、トラバーチン模様(不規則な点々)が入った石膏ボードのこと。安価で施工性が高いのが特徴

ー「いかにも事務所」ですね。

そうなんです。天井にジプトーンが用いられていると、どうしても空間全体が単調な印象になりがちです。加えて、もともと天井高が低かったこともあり、奥行きはあるものの、実際以上に狭く感じられる状態でした。
また、天井が低いうえにジプトーン仕上げであることで、いわゆる“オフィスらしさ”が強く出てしまう点も課題でした。

ー他に苦労した点はありますか?

上下階すべてがオフィスとして稼働しているため、日中は大きな音をともなう作業が制限されていました。匂いや音が発生する工程については夜間に対応する必要があり、施工スケジュールの調整には苦労しました。

解決.折り上げ天井と照明の使い分けによるエリア分離

ーどのようにしてオフィス感を軽減されたのでしょうか?

ポイントは、天井の一部を折り上げ天井にしたことだと思います。

【用語解説】
折り上げ天井:天井の中央部分を一段高く作り込む建築手法のこと。照明を埋め込んだり、デザインに変化をつけたりすることで、天井が低い物件でも圧迫感をなくし、開放的で洗練された空間を演出できる

照明を天井にそのまま取り付けるのではなく、照明の高さぶんだけ天井の一部を持ち上げて、くぼみをつくるような形にしました。
天井が低い空間にそのままスポットライトを設置すると、どうしても圧迫感や視線の集中が生まれやすくなります。そこで、スポットライトを設置する部分だけ天井を少し高くすることで、空間の広がりを感じさせつつ、ジプトーン特有のオフィス感もやわらげる工夫をしています

また、執務エリアには手元作業がしやすく影が出にくい白色の照明を採用し、休憩エリアには温かみのある電球色と木目を取り入れることで、リラックスできる空間としました。こうした仕上げの工夫により、空間ごとの役割を明確に分けています。

このような細やかな配慮は、必ずしもコストを大きくかけるものではなく、工夫次第で実現できるため、やはり知見の重要性を感じています

オフィス内装を成功させる秘訣は、単に見栄えを良くすることではありません。「なぜそのデザインにするのか」という意図を持ち、限られた予算をどこに集中させるかを見極めることです。また、オフィス環境は働くスタッフのモチベーションや業務効率、そして「採用力」にまで直結する重要な経営資源です。スタッフが過ごしやすい空間を整えることは、「ここで長く働きたい」という気持ちを高め、結果として人材が定着しやすい土壌を作ることにも繋がります。

他社で「難しい」と言われた予算や工期でも、エムトラストの知見があれば、あきらめずに実現する方法が見つかるかもしれません。採用力を高め、スタッフが誇りを持って働けるオフィスを作りたい経営者様は、ぜひ一度私たちにご相談ください。

本記事の内容は2026年3月時点の情報です。