開業直前の致命的な設備トラブルから逆転!古いビルの制約を乗り越えた会員制料亭の内装事例

施工前の課題

  • 「お客様の前で調理を見せるカウンター」を実現するため、厨房を元の位置から真逆の場所へ移動させる必要があった
  • オープン前の試運転で排気設備が「煙や熱を吸わない」ことが発覚。特注ファンの手配には通常1ヵ月を要する状況だった
  • トイレがフロア共用で会員制に必要な導線・空間体験が十分に整っていなかった

実施した取り組みと効果

  • 前回の施工経験を活かして配管や構造の制約を見極め、大幅なレイアウト変更を実現
  • 設備見直しとネットワーク活用により、排気トラブルを10日で解決
  • トイレ新設と二重扉の導入で、会員制にふさわしい没入感ある空間を実現

エムトラスト代表
高橋

16歳で大工の道へ入り、建築・内装業界に従事して20年以上のキャリアを持つ。「母に家をプレゼントしたい」という想いから起業し、現在は年間500件以上の店舗・オフィス施工を手掛ける。
店舗・オフィス開業に役立つノウハウを包み隠さず発信するYouTube「内装工事ちゃんねる」を開設。専門用語を使わない施主目線の解説が、多くの経営者から支持されている。「どうすれば実現できるか」を常に問い続けるのが信条。

ーまずは、今回ご紹介いただく旬一様がどのようなお店なのか教えてください。

千葉県船橋市にある、日本料理をメインとしたお店です。6年前に一度、居酒屋としての改装をお手伝いしましたが、今回は「一見さんお断り」の完全会員制へと業態を大きく変更するにあたり、再びお声がけいただきました。
客単価1万円前後のコース料理が中心となるため、地下という立地を活かし、「大人の隠れ家」としての品格が求められました。

【店舗情報】
・業態:会員制日本料理(居酒屋からの業態変更)
・物件状態:居抜き(業態変更)
・広さ:20坪(20席)
・所在地:千葉県船橋市

ー今回の旬一様は、高橋社長が以前施工された居酒屋からの業態変更ですが、着工前にはどのような課題があったのでしょうか?

一言でいえば「理想のコンセプトと建物のスペックの乖離」ですね。特に頭を悩ませたのは、インフラの根幹に関わる3つのポイントです。

  1. 調理風景を見せるための大胆な厨房レイアウト変更
  2. 厨房移設によって発生した排気設備の不具合
  3. 会員制の格式を担保するための動線と環境の再構築

課題1.調理風景を見せるための大胆な厨房レイアウト変更

ーリニューアルにあたって、まず直面した大きな壁は何だったのでしょうか。

最初の課題は、厨房の位置を従来とは真逆に移動させることでした。オーナー様には「お客様の目の前で職人が調理するところを見せたい」という理想がありました。しかし、もともと居酒屋だった店舗のインフラは、お客様に厨房を見せないことを想定して作られています。給排水の勾配やガス配管の引き回しなど、目に見えない部分で非常に難度の高い調整が求められました。

課題2.厨房移設によって発生した排気設備の不具合

ー古いビルならではの予期せぬトラブルが起こることもあるのでしょうか?

今回最も大きな問題になったのが排気でした。新しいビルだと店舗ごとに排気のファンがあるのですが、ここは空気の通り道となるダクトがビル全体で1つしかなく、どこか1ヵ所いじると全体のバランスを崩して機能しなくなる構造です。施工自体は計算通りに進んでいましたが、オープン前の試運転で「煙や熱気をまったく吸わない」という事態が発覚しました。

ーそれは飲食店にとって致命的ですよね。

強い火力を扱う調理環境のため、煙や熱が滞留すれば営業そのものが成立しません。
原因を調査した結果、既存設備では対応できないことが判明し、設備の見直しを余儀なくされました。ビルの排気システムに適合する特注ファンの手配には、通常1ヵ月ほどかかります。そのため、オープンまでもうわずかという土壇場での排気不全に、現場にはかなりの緊張感が漂いました。

課題3.会員制の格式を担保するための動線と環境の再構築

会員制の店舗ならではの課題もありましたか?

そうですね。もともとは、トイレが店外の共用部にしかありませんでした。そのため、お客様がお手洗いに行くたびに一度外へ出て、他のテナントと共有する現実的な空間を通らなければならなかったんです。
最も重視したポイントは、「お店に一歩足を踏み入れた瞬間の高揚感を、お帰りになるまで一度も途切れさせないこと」でした。

ーせっかくの贅沢な気分が、お手洗いのたびに「現実に引き戻される」のは残念ですね。

そうなんです。それだと会員制ならではの特別感やホスピタリティが台無しになってしまいます。加えて、このビルは地下にあるため、お店のすぐ外には賑やかなスナックや居酒屋が並んでいます。扉一枚隔てた先の雑踏をいかに遮断し、店内の隅々まで格式を守ることが、設計における重要なテーマであり課題でした。

ー現場で直面した課題を、具体的にどう突破していったのでしょうか。

今回のプロジェクトで重要視したのは、単に課題を解決するだけでなく、「会員制日本料理店」の品格をどう着地させるかという点です。建物の構造的な制約を一つひとつ技術でクリアしながら、オーナー様の理想を現実の形に落とし込んでいきました。具体的には、次の3つの対策です。

  1. 前回の施工経験から配管や構造の制約をクリアし厨房移設を実現
  2. 20年以上築き上げてきた業者間のネットワークを駆使して排気設備の不具合を短期間で解決
  3. 店内トイレ新設と「二重扉」が創り出す外界を忘れる没入感

ポイント1.前回の施工経験から配管や構造の制約をクリアし厨房移設を実現

ーまず、厨房を真逆の位置に持っていくという大胆な移設は、どうクリアされたのですか?

一番のハードルは給排水などの配管を通せるかどうかでしたが、幸いにも前回この店舗の工事を担当した経験から「このルートならいける」という確信がありました。物件の構造を知り尽くしていたからこそ、迷いなく理想のレイアウトへ移設を進められました。

ポイント2.20年以上築き上げてきた業者間のネットワークを駆使して排気設備の不具合を短期間で解決

ーでは、もう一つの大きな課題だった排気問題はいかがでしたか。

そこが今回、最も緊張感の高かった場面でした。このビルは1本しかない特殊なダクト構造で計算上は問題ないはずのファンを設置しても、試運転では煙や熱をまったく吸わないという事態に陥ったんです。
オープンまで残り数週間。原因を突き止めたうえで、「今のファンでは対応できない。特注のファンを手配するしかない」と即座に判断しました。

ー通常、特注のファンを手配するには1ヵ月ほどかかりますよね。

おっしゃる通り、通常のルートでは到底間に合いません。そこで頼りになったのが、これまで20年以上、現場経験で築いてきた業者間のネットワークです。「誰に相談すれば、この状況を今すぐ打開できるか」を見極め、あらゆる方向に働きかけました。その結果、奇跡的にこの特注ファンの在庫を持つ業者さんを見つけられ、本来1ヵ月かかる工程をわずか10日ほどで完了させられました
オーナー様がオープン延期も覚悟されていたなかでも、プロとして最後まで諦めずにやり切る。その積み重ねが、予定通りの開業につながったと感じています。

ポイント3.店内トイレ新設と「二重扉」が創り出す外界を忘れる没入感

ー会員制の格式を保つために、空間や動線にはどのような工夫をしましたか?

まず、店内のトイレ新設は必須でした。これで、お客様がお手洗いのたびに現実に引き戻されることなく、食事の余韻に浸り続けていただけます。

ー入り口の設計にも、かなりこだわられたと伺いました。

地下街の雑踏から一瞬で「非日常」へ切り替えるため、入り口を二重扉にしました。1枚目を開けると広がる待合スペースがあり、その先の2枚目の扉は施錠されています。

インターホンで予約名を告げて解錠を待つ。この「間(ま)」を作ることで、外界を完全に遮断し、知っている方だけが足を踏み入れられる「大人の隠れ家」の格式を完成させました。

ー建物の制約や予期せぬトラブルに直面したとき、業者としてどう向き合うべきだとお考えですか。

内装工事の現場では、建物の制約や予期せぬ壁にぶつかったとき、業者側が「もう無理です」と言うのは簡単です。断ってしまえばそこで終わりですから。しかし私は、どれだけ困難な状況でも最後までやり切りたい。「やり切る人」が意外と少ないからこそ、そこが私の譲れない部分です

ー今回のトラブルを乗り越えられたのも、その姿勢があったからこそですね。

今回はたまたま運が良かっただけかもしれません。でも、可能性があるなら私は諦めたくない。たとえオーナー様が「オープンをずらしていいかも」と思ったとしても、私はオーナー様以上に熱い気持ちで現場に向き合っていたいと思っています。
建物の制約で諦めてしまう前に、まずはその想いをぶつけてください。方法を変えれば実現できる道は必ずあります。エムトラストは、あなたの夢を「できない」で終わらせず、最後まで形にするために走り続けます。ぜひお気軽にご相談ください。

旬一様の事例で証明されたのは、エムトラストが持つ「どのような制約も言い訳にせず、最後までやり切る」実行力です。

厨房の移設では、前回の施工経験で培った建物への深い理解が、大胆なレイアウト変更を可能にしました。オープン直前に発覚した絶望的な排気トラブルは、20年以上かけて築き上げた業者間のネットワークを駆使してわずか10日間で解決。そしてトイレの新設と二重扉による演出が、「大人の隠れ家」の格式ある空間を完成させました。3つの課題が一つひとつクリアされた先に、オーナー様が描いた理想の会員制空間が生まれたのです。

内装工事は単なる箱作りではありません。オーナー様の人生をかけた夢を、現実の形にする共同プロジェクトです。古いビルだからと諦めたり、他社に無理だと言われたからと妥協したりする前に、まずは私たちにご相談ください

本記事の内容は2026年4月時点の情報です。